増補改訂版 起業のエクイティ・ファイナンス
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2022
起業家やスタートアップ関係者のバイブルとして売れ続ける『起業のファイナンス』の姉妹書が、発売から7年をへて全面的に改稿されます。スタートアップをめぐる情報がアップデートされるほか、実務で多用される「J-KISS」方式などの新たなスキームも複数追加され、より「決定版」にふさわしい内容となりました 目次
増補改訂版に寄せて
序章 劇的に変化する日本のスタートアップ生態系
急成長してもさらに広がる日米格差
スタートアップ生態系は究極の市場メカニズム
何がスタートアップに人を惹きつけるのか?
事業や数字より「組織構築」にフォーカスせよ
「人」が決めない評価
スタートアップを取り巻く環境の進展
スタートアップ活況の理由
「死の谷」を越えて成長しはじめた日本のVC
機関投資家も日本のスタートアップに目を向け始めた
現在のスタートアップ環境の課題
M&Aはなぜ徐々にしか増えないか?
M&Aの加速効果
起業とイノベーションとスタートアップの関係
企業は実は結構入れ替わっている
起業を支えるファイナンス
日本のスタートアップ投資は米国の歴史をなぞる
スタートアップにもチャンスがある
「エンジェル」とは誰のことか?
本書の構成
成長するスタートアップのファイナンス
株主構成の是正が必要な場合のファイナンス
ベンチャーキャピタルのストラクチャー/スタートアップの未来ビジョン
ひな型を用意
第1章 創業時から考えるべき資本政策の注意点
「成功した未来」から資金調達できる「タイムマシン」
「時間」と「信用」を買う/自己資本は「信用の源泉」である
株式で「仲間」を増やす
株式以外の資金調達
基本的には上場できるほうが有利
経営者が会社をどこまでコントロールできるか
企業価値と株式の購入者の数・目的も異なる
「金だけが目的」の経営者は上場してもうまくいかない
共同創業の資本政策上の問題点
「仲良し」な資本構成の実例
創業株主間契約の例
持分の多さと返還のパターン
意外に怖い、返還時の税務
1.「個人→個人」の譲渡のケース
2-a.「個人→法人」の譲渡のケース
2-b.発行会社自身が引き取るケース
譲渡時の税のまとめ
会社法上の問題
「株+契約」で一体とみなせるか?
優先株式発行時の普通株式の譲渡
本章のまとめ
第2章 シード段階の投資実務
悪いシード期のファイナンスの具体例
convertible equityの転換のしくみ
留意すべき、日米の環境の違い
新株予約権を使う方法
用いられる新株予約権の内容
契約書の内容
本章のまとめ
第3章 優先株式を使った投資実務
重要さを増す優先株式
M&Aの増加に優先株式の普及が必要な理由
投資額の増大に優先株式が必要な理由
「pre」「post」は企業価値を表しているか?
優先株式の問題点
優先株式はどうすれば普及するか?
優先株式の法的な性質
残余財産分配権とは
「フル参加型」の残余財産優先分配権
「非参加型」の残余財産優先分配権
「3倍」の残余財産優先分配権
定款での残余財産分配権の定め
残余財産分配権の「倍率」
登録株式質権者
「フル参加型」の分配
強制的な転換と端数処理
例外的なexitへの対処
議決権
本章のまとめ
第4章 投資の契約実務
なぜ投資の際に契約を結ぶのか?
投資契約書(株式引受契約書)
資金調達の概要
資金の使途
表明と保証
払込義務
株主間契約書
議決権その他のコントロール権
払込後の経営者の義務
投資家の保有する株式の譲渡の制限
契約の終了
分配合意書
ドラッグ・アロング(drag-along)権(売却請求権) 新たな株主の参加
資本業務提携の実務
各要因間の関係と不確実性
持株比率と契約条件との関係
シリコンバレーとの環境の違い
議決権の有無
比率や額と、各種拒否権・事前承認事項
保有する比率と拒否権の発生
株主間契約での対応
事業会社のインセンティブと企業価値向上
本章のまとめ
リストリクテッド・ストックとは
資本構成の是正
「スタートアップ向けリストリクテッド・ストック」とは
スタートアップ向けリストリクテッド・ストック発行の例
既存株主が持ち過ぎの例/是正せずに投資した例
スタートアップ向けリストリクテッド・ストックによる是正の例
リストリクテッド・ストックの条件
残余財産優先分配権と普通株式の価値
M&Aでのexit金額と分配割合
M&AとIPOの企業価値評価の違い
会社法上「特に有利な金額」か?
他の方法で是正を行う際の問題点
無償のストックオプションを使う方法/有償ストックオプションを使う方法
本章のまとめ
なぜ社内ベンチャーがうまくいかないのか?
スタートアップ向きの事業かどうか
「タイミング」が重要
「オープン・イノベーション」のための資本政策
MBOスキームの全体像
解決すべき状況
投資家からの出資
既存株主がすべていなくなる場合
合併等の実施
既存株主が残る場合
優先株式を活用した具体的スキーム
優先株式の設計上の工夫
持株会社の設立(普通株式)
運営会社の合併等
税務上の問題
本章のまとめ
米国のdual classの活用例
Googleによるdual classの採用
Googleの取締役
経営者に「代わり」はいるのか?
対買収戦略をとることは「悪」か?
日本版dual classのスキーム
「単元株」による議決権の設計
普通株式とB種類株式の経済的価値は同じ
種類株主総会をなるべくしない工夫
B種類株式の譲渡制限
B種類株式から普通株式への転換は自由
dual classへの変更手続き
本章のまとめ
第8章 日本のベンチャー投資ストラクチャー
ここ数年で大きく変化した日本のファンド・ストラクチャー
グローバルなストラクチャーと日本の旧来型ストラクチャー
ベンチャー投資では、なぜ「個人」が重要なのか?
有限責任の重要性
有限責任が経済発展を促進してきた
パススルーの重要性
強いインセンティブを実現するストラクチャー
「組合代理」とは何か?
「組合」とは何か?
「carried interest」と「成功報酬」
なぜ株譲渡所得は分離課税で一定の税率なのか?
ベンチャーキャピタルは「金融業」なのか?
VCの業務の流れ/区分は実際にはカンタン
全体としての再分配機能
補足:組合の税務
「分配割合」が重要キーワード/組合員の所得の計算方法
本章のまとめ
終章 スタートアップの未来ビジョン
社会にとって起業/スタートアップとは何か
起業は雇用を増加させる
起業への投資は経済成長に直結する
税収増に直結する
社会福祉に貢献する
市場メカニズムを支える機能
多様性のある豊かな社会
「競争」がクオリティを上げる/
日本に不足しているのは「投資額の大きな競争」だ
「小型株に最適化された」IPOを打破する
小さな企業でも上場できる市場
未上場ファイナンスの拡充
上場後の投資家の質の変化
期待される制度や生態系の改善
スタートアップに政府が関与する意味
10年後の日本のベンチャー投資のビジョン
起業を活性化させる施策とは?
施策① ベンチャーキャピタルの数と資金量を増やす
施策② 企業からスタートアップへの資金の流れを増やす
施策③ スタートアップのexitを促進する
施策④ GAAPでの未上場株式の評価を「公正価値」に 施策⑥ 会社法の柔軟化
スタートアップが生み出す社会の変化
「ステークを持つ」生き方
おわりに
別添